【育つ次世代…2人目】

 木と風の香りカフェでは、次世代を担う有力候補がニョキニョキと頭角を現し始めています。今回は18歳の田中詩帆さん通称「ホッシー」を紹介します。


ホッシーとの出会いはある日かかってきた1本の電話。

「スタッフとして参加したい」とのことで必要事項を伝えていくうち何となく声のトーンから「お若そうですね」というと「17歳です」と。メモを取っている様子でテンポよく的を得た応答、大人の方と話しているとばかり思っていたので17歳と聞いて驚愕(;・∀・) 


そんなホッシー、今回は趣向を変えて彼女からいただいたお手紙を紹介します。


 ------------以下ホッシーからの手紙-------------- 


8月から、とある企業で長期インターンシップに参画しています。
なぜインターンをしたいと思ったのか。その理由に、木と風の香りカフェがあります。


私は高校2年時にフィリピンのNGOへインターンを経験しました。

特に衣食住さえ足りない貧困地区の子どもたちと関わってきたのですが、彼らには環境の厳しさを吹き飛ばし、忘れさせるほどの笑顔がありました。限られた環境だからこそ、家族の垣根を超え支え合う、人と人の繋がりが強いように感じました。


 日本に帰国してからもフィリピンの子どもたちの笑顔がどうしても忘れられず、ふと日本の子どもたちを見て「フィリピンで出会った子どもたちのほうがキラッキラの笑顔だったなぁ」なんて感覚的に思いました。 


日本の方が衣食住は整っているのに、なぜだろう…これが心の貧困なのか?きっと日本の子たちにもキラッキラの笑顔があるんだろうな。その笑顔を守りたい!

そんな使命感から何かしたいと思うようになりました。そこで出会ったのが、木と風の香りカフェです。


 木と風の香りカフェは、奥様方がお料理に腕を振るい、お兄さんやお父さんが裏で支え、そこに子どもたちが集まるという、地域のサードプレイスがありました。 先月は嫌いと言って食べなかったものを今月は食べていたり、背が伸びていたり、アクセサリーをつけたおしゃれなお姉さんになっていたり、子どもたちの成長を地域で支えて見守れる環境。絵を描くのが好きな子がメニューを書いて、年上の子たちが年下の子たちの面倒をみて、カフェが子どもたちの絵でいっぱいになって、なんだか、とってもとっても、素敵だと思いました。


 子どもたちの抱えるバックグラウンドはそれぞれです。

でも世の中には、学校にも、家にもなんとなく居場所がなくて、友達にも先生にも家族にも言えないことがあって、でも話したくって頼りたくって助けて欲しくて単純に遊びたくって、仲間が欲しい子どもたちがたくさんいます。だからこそ子どもたちが、その子のままでいられる空間が必要なんです。 その子が「いる」だけで認められて、認められるから好きなこととか得意なことを精一杯できて、それが褒められて、周りから頼られるようになって、あなたが必要なのよ!って言ってもらえる場所が不可欠だと思うんです。 


その共通項を何にするのかと考えたとき、私は地域貢献活動に積極的に取り組む企業インターンを選びました。 子ども一人一人の「好き」や「得意」が合わさって、一つのものが成り立つ、一つのものができる、そんな「子どもたちの笑顔が中心にある地域社会」を実現したいと考えました。


 今は残念ながら、一生懸命になることを非難されやすく、それを乗り越えた子達だけが輝く時代です。子どもたちは自分の「好き」さえも言葉にすることを諦めようとします。 そして社会の流れや多数の意見に、自分の意志を左右されてしまいます。 


せっかくの一度きりの人生です。 

子どもたちがそれぞれ、その子にしかできない虹色の人生にしてほしい。そのために、地域が一つになったら素敵だな…助け合って頼りあって、子どもたちの笑顔が伝染して地域を元気にしたい!そう思います。


 木と風の香りカフェは、私の目指す社会の縮図です。一人一人の力があって、存在があってカフェが成り立つ。その一人一人は運営やボランティアだけではなく、来てくれる子ども、子どもを送り出す家族、取り巻くひとみんなです。 子どもたちがそのまんまの自分で、みんなのオンリーワンになれる社会を創りたいと思います。 


Shiho Tanaka 田中詩帆


NPO法人木と風の香り

地域の遊び場&子ども食堂 ~愛される子ども時代を~