【私たちの加害性】
バイトでミスをするたび、激しく叱責したり、挨拶しても挨拶が聞こえない!幽霊みたい!となじったり。休み希望を聞かれ、答えると「その日は休めないよ」と笑う。子どもはアルバイトに行く事がしんどくなり、着信があるたび、手が震えてしまう。体にこんな影響がでて、勇気を振り絞り体調不良を訴えても、そんなんじゃ社会では通用しないと、30分以上叱責する。
これは暴力だ。
私は不定期で、自学のために「大人にされて・言われて、いやだったこと」を「こうしてほしかった」という理想や希望と共に子どもたちに教えてもらっている。すると、殴る蹴るの暴力をはじめ、理不尽な命令、無視、差別が、これでもかというほど出てくる。
でも自分を振り返ると、子どもたちが教えてくれた「されたくないこと」の中には、私もしてしまっていることがあることに気が付く。スタッフと共有してもやはり、自分も加害している側だと認識するメンバーがいて、我々に子どもの言葉がグザグザ刺さり、居心地が悪い。
私はこの居心地の悪さこそが、子どもへ向けられる暴力を減らす上でとても大事なのだと思う。つまり、誰もが自分にある加害性に気づき、内省し、できる限り謝る機会をもつこと。そして、加害性に気づいた本人を周りが責めないことが、子どもへの暴力を減らすためにとても大切なのではと。
人と人が関わる以上、「自分は人を絶対に傷つけない」なんて、言えるだろうか?
まして、親子とか、兄弟とか、先輩後輩とか、先生と生徒とか、外から見えづらい小さなコミュニティでは、力の弱い者へ向けた自分の加害性を正当化してしまう場面もあるのではないだろうか。少なくとも、私には思い当たる。
社会に出て困らないようにという愛情だった、とか、より立派な人間に「成長してくれ」「学んでくれ」と、子どもたちの行動変容を促すためだったとか。そんなときに、暴力は起きている。
そんな暴力的な社会は変えなくちゃいけない。
その社会の一員である自分から、変わらなきゃいけない。
そう強く感じながら、子どもたちの居場所の鍵をあけ続けた夏休みでした。
ご協力いただいた皆様に心から感謝いたします。
NPO法人木と風の香り
代表 辻川恵美
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